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プロフィール

 ジャン=フィリップ・トゥーサン。1957年11月29日、ブリュッセル生まれ。父イヴォンはベルギー有力紙「ル・ソワール」の編集長を長らく務めたジャーナリストで、歴史小説を数冊刊行している小説家でもある。また、母モニクの経営する書店は、フランスの作家たちを招待して随時、朗読会や講演を開催。ブリュッセルの重要な文化スポットとして知られる。ジャン=フィリップは高等教育をパリで受け、グラン・ゼコールと呼ばれるエリート校の一つ、パリ政治学院で歴史を研究、博士号執筆資格(DEA)まで取得した。しかし研究者の道を選ばず、兵役の代わりとしてアルジェリアで教職についていたときに書いた小説『浴室』により、1985年、ミニュイ社から作家としてデビュー。以後、作品はすべてミニュイ社から刊行されている(邦訳はすべて集英社刊)。鮮やかな視覚的描写と流麗な文体、そして飄々としたユーモアが溶け合ったその作品世界に対する評価は、いよいよ高まっている。
 また、学生時代から熱心な映画ファンだったが、『浴室』がジョン・ルヴォフ監督によって映画化(1989年)された際に脚本を担当したことを契機に、映画制作を志す。姉アンヌ=ドミニク・トゥーサンのプロデュースにより自作『ムッシュー』(90年)を映画化。さらに『カメラ』にもとづく『セヴィヤーヌ』(92年、日本公開時の邦題は『カメラ』)、オリジナル脚本による『アイスリンク』(99年)と監督経験を重ねている。写真展を開催したこともあり、オブジェ制作も手掛けるなど、活動は多岐にわたるが、近年は『愛しあう』(2002年)を第一弾とする連作(四部作になると噂される)の執筆に意を注いでいる。
 『テレビジョン』でベルギー最高の文学賞ロッセル賞、『逃げる』(2005年)でフランス四大文学賞の一つメディシス賞、『マリーについての真実』(2009年)でフランスの文学賞として最高の賞金額を誇るデサンブル賞を受賞。
 妻マドレーヌはコルシカ島出身。長男ジャン、長女アンナの四人家族。1994年の初来日以来、来日は10回を超え、その都度、講演会やサイン会をとおして読者との交流を深めている。
ー 2009年11月21日 野崎歓 ー

リンク

野崎歓「ジャン=フィリップ・トゥーサンと日本」フランス語エッセー, Le Carnet et les instants, 2000年